日本は世界有数の地震大国です。
北陸(富山・石川)でも、2024年の能登半島地震をはじめ大きな地震が繰り返し発生しています。
地震による墓石の倒壊は、ご自身の区画だけでなく、周囲の区画や参拝される方への被害にもつながりかねません。
そのため耐震施工は、「あれば安心」というより「標準装備として検討する価値が高い工程」だと考えています。
創業1950年のヤマイチ株式会社(墓まもり)では、北陸の気候・地震リスクを踏まえた耐震施工をご提案しています。
本記事では、その中核となる「くり抜き工法」と「ホゾ貫通施工」を石工の視点から解説します。
あわせて、富山型墓石(地上納骨堂)特有の耐震ポイントや、栗石基礎・凍害対策まで、富山の現場感覚に沿って具体的にお伝えします。
結論から:墓石の耐震施工では、上部の石材を「くり抜いて」重心を下げる工法と、各石材をステンレスボルト(ホゾ)で縦に貫通・固定するホゾ貫通施工が有効です。
さらに富山では、揺れを逃がす免震・振動を吸収する吸震を組み合わせた「耐震+免震+吸震」の3層で考えるのが、現地のベテラン石工の標準的な発想です。
富山型墓石の場合は、中空の地上納骨堂と上石の連結も大切な論点になります。
主要な耐震施工技術の比較表
富山の地震対策は、性質の異なる施工を組み合わせる「3層」で整理すると分かりやすくなります。
| 分類 | 工法名 | 主な特徴 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 耐震(衝撃に耐える) | くり抜き工法 | 竿石・上台の内部をくり抜いて軽量化・重心低下 | 転倒モーメントを抑え、揺れ幅を小さくする |
| 耐震(衝撃に耐える) | ホゾ貫通施工 | ステンレスボルトで各パーツを縦方向に固定 | 石材同士のズレ・落下のリスクを低減する |
| 耐震(衝撃に耐える) | ステンレス金具固定 | 接合部をL字・プレート金具で補強 | 水平方向のズレを防ぐ |
| 免震(揺れを逃がす) | 免震パッド設置 | 石材の接合面に免震ゴム・弾力性接着剤を挟む | 揺れのエネルギーを逃がし、石材の割れを防ぐ |
| 吸震(振動を吸収する) | 吸震施工 | 振動エネルギーを熱エネルギーに変換して放出する素材を使う | 地震の揺れを和らげ、接合部への負担を軽くする |
富山で長く墓石を手がける職人の間では、この「耐震・免震・吸震」の3層を組み合わせる考え方が広く共有されています。
1つの工法だけに頼るのではなく、性質の違う対策を重ねることで、地震への備えが厚くなります。
くり抜き工法とは何か|石工目線で解説
竿石の内部をくり抜いて重心を下げる
くり抜き工法とは、墓石の最上部に位置する「竿石(さおいし)」や「上台石」の内部をくり抜く技術です。
円柱状または角形にくり抜くことで、石材の重量を軽くしながら重心を低くします。
建物と同じで、高い位置に重い物体があるほど、地震時の転倒モーメントは大きくなります。
竿石は最も高い位置にある石材です。
ここを軽量化するだけでも、地震時の揺れ幅が小さくなり、倒れにくくなります。
真宗門徒の名号彫刻とくり抜きの両立
富山は浄土真宗(真宗)門徒の多い地域です。
真宗門徒のお墓では、竿石の正面に「南無阿弥陀仏」(本願寺派)や「南無阿弥陀佛」(大谷派・旧字)の名号を彫る伝統があります。
表面に深く名号を彫りつつ、内部をくり抜く場合、表面彫刻の深さと内部空洞の肉厚をどう両立させるかが、石工の腕の見せどころです。
彫刻面の裏側まで空洞を広げすぎると割れの原因になるため、彫りの深さに応じて肉厚を残す設計が欠かせません。
お墓に彫る文字や形式はご家庭の宗派によって異なります。
名号にするか「〇〇家之墓」とするかも含め、菩提寺やご住職にご確認のうえ決めるのが安心です。
くり抜きの具体的なプロセス
- 石材の形状・寸法に応じて、くり抜き量を設計する(石材強度を保つ最低肉厚を確保する)
- 専用の石材加工機(コアドリルなど)で精密にくり抜く
- くり抜いた空洞は、後述のホゾ(ステンレスボルト)を通す空間としても活用する
- くり抜き後の重量・バランスを確認してから施工に進む
💡 くり抜きは「見えない工程」だからこそ信頼できる業者を選ぶ
くり抜き施工は墓石が完成すると外から確認できません。
施工写真の提供など、透明性のある説明をする業者を選ぶことが大切です。墓まもりの新規建立施工事例はこちら
ホゾ貫通施工とは何か|連結固定で倒壊を防ぐ
各石材をステンレスボルトで一体化する
ホゾ貫通施工とは、墓石を構成する各パーツ(竿石・上台・中台・芝台)を縦方向のボルトで一体化する技術です。
まず各パーツの中心部に穴を開けます。
そこにステンレス製のボルト(ホゾ)を縦に通し、各石材を連結・固定します。
この工法により、地震の揺れで石材がずれたり落下したりするリスクを低減できます。
ステンレスは腐食に強く、雨・雪・結露の多い北陸の環境でも長く強度を保ちます。
北陸特有の積雪・凍結が金具や接合部に与える影響については、北陸の積雪・凍結対策でも詳しく解説しています。
ホゾ貫通施工の手順と仕様
- 各石材の中心に、ボルト径に合わせた縦穴を精密にあける
- ステンレスボルトはSUS304以上を基本とし、海沿いなど塩害リスクの高い地域ではより耐食性の高いSUS316を採用する(使用グレードは見積時に書面で確認することをおすすめします)
- ボルトと石材の隙間にはエポキシ系接着剤を充填して固定強度を高める
- 最上部(竿石上端)はキャップで密閉して雨水の侵入を防ぐ
免震パッド・吸震施工との組み合わせ効果
ホゾ貫通施工に加えて、各接合面に免震ゴムパッド(シリコン系・ゴム系)や弾力性接着剤を挟む方法があります。
これにより、揺れのエネルギーを逃がし、石材のひび割れを防ぐ効果が加わります。
さらに吸震施工を組み合わせると、振動エネルギーの一部を熱として放出し、接合部への負担を和らげられます。
くり抜き工法・ホゾ貫通・免震パッド・吸震を重ねることで、より総合的な地震への備えになります。
性能表示についての注意:耐震施工には「震度いくつまで耐える」といった業界共通の試験規格が確立されていません。
そのため「大幅に向上」などの定性的な表現に頼らず、どの工法をどう組み合わせるか、使用材料は何かを書面で確認することが大切です。
富山型墓石(地上納骨堂)ならではの耐震ポイント
富山のお墓は、全国的に多い「地下納骨」ではなく、墓石の下に納骨堂を設けた「地上納骨」が標準です。
この富山型墓石では、納骨堂部分が中空構造になっているため、耐震上の論点が他県とは少し異なります。
中空の納骨堂と上石の双方を固定する
富山型墓石の耐震では、大きく2つの部分を考える必要があります。
- 納骨堂部分(中空構造):扉まわりや床石・側石がずれないよう、接合部をしっかり固定する
- 上石(竿石・上台など):納骨堂の上に載る石材を、ホゾ貫通やステンレス金具で納骨堂本体と連結する
中空部分の上に石材が載る構造のため、上石と納骨堂の「連結」が甘いと、地震時に上下でずれやすくなります。
地下納骨を前提とした他県の施工例をそのまま当てはめると、この連結の考え方が抜け落ちることがあります。
納骨堂の荷重と収骨スタイル
富山の骨壺は全国的にも大きく、おおよそ32cm×20cm×20cmほどあります。
納骨する骨壺の数や大きさは、納骨堂にかかる荷重に直結します。
なお真宗門徒の場合、東西本願寺(大谷祖廟・大谷本廟など)への分骨・本山納骨の習慣が根強くあります。
そのため、お墓本体に納める骨壺の数が他宗より少なくなるご家庭もあります。
収骨のスタイルはご家庭の宗派や考え方によって異なります。
納骨堂の容量や荷重を見込む際には、こうした収骨スタイルもあわせてご相談ください。
基礎工事との連携が耐震性能を決める
地上部だけでなく基礎が重要
いかに上部の墓石を耐震加工しても、基礎がしっかりしていなければ意味がありません。
特に北陸では、冬季の凍結・融解サイクルによる地盤変動や、積雪荷重による基礎への影響も考慮した施工が必要です。
富山の基礎は「栗石」で重い墓を支える
富山のベテラン石工が重視するのが、基礎に使う石です。
細かな砕石ではなく、ある程度の大きさのある「栗石(くりいし)」を地面に食い込ませて締め固めます。
こうすることで、重い墓石をしっかり支える安定した地盤をつくります。
- 栗石を敷き込み、地面に食い込ませて締め固める
- コンクリート基礎の厚さと配筋仕様を確認する
- 凍結深度(富山県の平野部で概ね30cm前後、山間部・寒冷地で40〜50cm程度)より深い根入れを確保する
- 排水対策(基礎内への水分侵入を防ぐ)を施す
- 地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良を検討する
凍結対策と基礎工事の詳細は北陸の積雪・凍結対策でも解説しています。
また、北陸の冬場の墓石管理については北陸の冬の準備コラムも参考になります。
凍害爆裂とメジ施工|接合強度を守る防水
北陸の墓石では、地震対策と並んで「凍害爆裂(とうがいばくれつ)」への備えが欠かせません。
水は凍結するとき体積が約1.1倍に膨張します。
石材の内部やメジ(目地)の隙間に閉じ込められた水が凍ると、内部から強い圧力が生じ、石を傷めることがあります。
この凍害爆裂は、富山でお墓を壊す大きな原因の1つです。
耐震は突き詰めれば「接合部の話」でもあります。
メジが劣化して水が侵入すると、凍害で接合部がもろくなり、せっかくの耐震施工の効果も損なわれかねません。
そのため、メジには墓石用の変性シリコンを用い、防水施工を併せて行うことが大切です。
建立後も、メジの劣化を定期的に点検し、必要に応じて打ち直すことをおすすめします。
施工に適さない時期と耐震性能
耐震施工の品質は、エポキシ接着剤やモルタルがきちんと硬化するかどうかに左右されます。
1日の最高気温が5℃以下になりやすい1月〜3月は、接着不良やエフロレッセンス(白い汚れ)が起こりやすい時期です。
低温期の施工は、接合部の固定強度、ひいては耐震性能にも影響しかねません。
建立や耐震リフォームの時期は、こうした季節要因も踏まえてご相談いただくのが安心です。
既存墓石の耐震補強リフォームの選択肢
新築でなくても耐震補強は可能
すでに建っている墓石にも、部分的な耐震補強工事を施すことができます。
特に古くから建っている墓石で、接合部の経年劣化が見られる場合は、早めの確認をおすすめします。
- 接着剤の再充填・免震パッドの後付け
- メジの打ち直し(凍害対策と防水)
- 外柵のステンレス金具補強
- 富山型墓石の納骨堂内の石貼り整備・換気孔の取付け(湿気・水対策)
- 傾きの矯正と基礎補修
- 全体的な建て替えリフォーム
お墓リフォームの詳細はお墓リフォームページをご確認ください。
注意:耐震施工の仕様(ホゾ径・使用材料・免震パッドの種類)は施工業者によって異なります。
「耐震仕様」と表記されていても、内容が同じとは限りません。
具体的な施工仕様を書面で確認するようにしましょう。
富山・石川での耐震施工相談
「今の墓石の耐震状況を確認したい」「建て替えを機に耐震施工を検討したい」など、お墓の耐震に関するご相談は墓まもり(ヤマイチ株式会社)にご連絡ください。
創業1950年の石工として、富山・石川での年間100件超の施工(新規建立・リフォーム・墓じまいの合算)をもとに対応しています。
ご家庭の宗派や墓地の形態によって最適な施工は異なりますので、現地を拝見したうえでご提案します。無料相談はこちら
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お客様の声
富山・石川で墓まもりをご利用いただいたお客様の声です。
「母が亡くなり、遠方に住む私には管理が難しくなっていました。
『墓じまいは罰当たり』という思いもあり悩んでいましたが、スタッフの方が『新しい供養の形への引越しです』と言ってくださり、気持ちが楽になりました。
閉眼供養から更地返還まで、丁寧に対応していただきました。
」
「他社にも見積もりを依頼しましたが、墓まもりさんが一番内訳が明確でした。
『ここはこういう理由でこの費用です』と一つひとつ説明してくれたので、安心してお任せできました。
10年保証があるのも決め手になりました。
」
「長年放置していたお墓の傾きが気になっていました。
見積もりだけのつもりで相談したのですが、『今の状態なら部分修理で十分ですよ』と正直に教えてくれました。
無理な工事を勧めない誠実さに感動しました。
」




