富山・石川のお盆は、宗派と地域によって作法が大きく異なります。
北陸は古くから浄土真宗の門徒が大多数を占める「真宗王国」であり、一般に「お盆の風習」として語られる迎え火・送り火・精霊棚といった作法は、真宗門徒のご家庭では本来行いません。
一方で、浄土宗・曹洞宗・真言宗・日蓮宗などの他宗派のお宅では、これらの作法を大切にされています。
創業1950年の 墓まもり(ヤマイチ株式会社)が、北陸ならではのお盆事情を宗派別に整理しました。
本記事の要点:
- 北陸は浄土真宗門徒が多く、真宗では迎え火・送り火・精霊棚・精霊流しは行いません
- 他宗派(浄土宗・曹洞宗・真言宗・日蓮宗 等)では迎え火・送り火を行うのが一般的
- 富山・石川は8月13〜16日の月遅れ盆が主流。一部7月盆の地域・寺院もあります
- 富山型墓石(地上納骨)へのお参りには、地上の納骨堂前で手を合わせる富山ならではの所作があります
北陸のお盆は宗派によって作法が大きく異なる
富山県・石川県は、本願寺派(お西)・大谷派(お東)を中心とした浄土真宗の門徒が圧倒的に多い地域です。北陸三県は古くから「真宗王国」と呼ばれ、家々の仏間や日々の暮らしのなかにも真宗の作法が深く根付いています。
そのため、テレビや全国向けの雑誌で紹介される「お盆=ご先祖が帰ってこられる日。
迎え火を焚いて、精霊棚を組んで、精霊馬を作って…」という作法は、北陸の真宗門徒のお宅ではそのまま当てはまりません。
同じ町内でも、お隣が浄土宗、お向かいが真宗、というご近所であれば、お盆の過ごし方が違うのが北陸の自然な姿です。
ご自身の家の宗派が分からない場合は、まずは仏壇のご本尊・位牌(真宗では法名軸または過去帳)・檀那寺(だんなでら)を確認してください。詳しくは 浄土真宗と他宗派の違い もあわせてご覧ください。
富山・石川の真宗門徒のお盆 ― 歓喜会・盂蘭盆会
真宗におけるお盆の意味
浄土真宗では、阿弥陀如来の本願により、命終とともにただちにお浄土に往生し仏となる(往生即成仏)と教えられます。
したがって「ご先祖の霊がお盆に家に帰ってこられる」という観念は持ちません。
真宗におけるお盆は、亡きご縁の方を偲びつつ、阿弥陀如来のお慈悲を聴聞(ちょうもん)させていただく仏縁の時として勤められます。
この季節の法要は、寺院や地域により「歓喜会(かんぎえ)」あるいは「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と呼ばれます。北陸の真宗寺院では、お盆の前後に本堂で歓喜会の法座(ほうざ)が勤まり、門徒が集ってご法話を聴聞するのが古くからの習わしです。
真宗門徒の家で行わないこと
- 迎え火・送り火を焚かない(霊を迎え送るという考え方をとらないため)
- 精霊棚(盆棚)を組まない
- 精霊馬(きゅうり・なすに割り箸を刺したもの)を作らない
- 水の子・お膳供えを位牌に向けない
- 精霊流しは行わない(後述)
真宗門徒の家でお盆に整えるもの
真宗のお仏壇では、お盆の時季に次のような荘厳(しょうごん)を整えます。
- 打敷(うちしき)を上卓・前卓に掛けて荘厳する
- 華束(けそく)・供笥(くげ)にお餅(お華束/おけそく)を盛ってお供え
- お仏飯(ぶっぱん)をご本尊・お脇掛にお供え(ご飯は朝のお勤め時に上げ、お昼前に下げる)
- 仏花・お灯明・お線香を整える
- お念仏「南無阿弥陀仏」をお称えする
真宗では、僧侶以外の在家門徒がお経をあげる習慣は基本的にありません。
お念仏をお称えし、ご法話を聴聞することがご門徒のお勤めです。
お盆には檀那寺から僧侶をお招きし、お内仏(おないぶつ=お仏壇)の前でお盆参り(棚経ではなく真宗では「お盆のお勤め」)を勤めていただくご家庭も多くあります。
真宗門徒のお仏壇荘厳の基本は 北陸の浄土真宗と法名のしきたり にも整理しています。
他宗派(浄土宗・曹洞宗・真言宗・日蓮宗 等)のお盆
富山・石川にも、浄土宗・曹洞宗・臨済宗・真言宗・日蓮宗の檀家のお宅は一定数あります。これらの宗派では、お盆にご先祖をお迎えし、改めて供養するという考え方を大切にされており、次のような作法を勤められます。
迎え火・送り火
13日の夕方に麻幹(おがら)を焚いてご先祖をお迎えし、16日(地域により15日)の夕方に再び焚いてお送りします。玄関先・門口・お墓の前など、場所はご家庭により異なります。
精霊棚(盆棚)
お仏壇の前または別座に小机を据え、真菰(まこも)のござを敷いて、ご位牌・お供物・きゅうりの馬・なすの牛・水の子・洗米・季節の果物などを整えます。地域・宗派・家ごとに細部は異なりますので、菩提寺のご指導に従ってください。
盆提灯
他宗派では盆提灯を仏間や床の間に飾る風習があります。
新盆(初盆)を迎えるお宅では、白提灯を一基用意するのが古くからの習いです。
近年は防火・安全の観点から、ろうそく式ではなくLED式の提灯を用いるご家庭が増えています。
夜通し火を灯し続けるような取り扱いは、現代の住宅事情では推奨されません。
火の取り扱いについて:迎え火・送り火・盆提灯のいずれも、火を使う場合は必ず人が見守れる時間帯に限ってください。LEDろうそく・電気式提灯への切り替えは、近年ご寺院でも推奨されています。
北陸のお盆時期 ― 月遅れ盆8月が主流
主流は「月遅れ盆」(8月13〜16日)
富山県・石川県のほとんどの地域は、新暦8月13日〜16日に盆行事を行う月遅れ盆が一般的です。会社・学校の夏休みもこの時期に合わせて設定されることが多く、ご親族の集まりやお墓参りもこの期間に行われます。
一部に7月盆の地域・寺院
金沢市中心部の一部のお宅、能登地区の一部寺院などでは、新暦7月13〜16日に「新盆(しんぼん)」としてお盆を勤める場合があります。これは故人初盆の「新盆(にいぼん)」とは別の言葉ですのでご注意ください(同じ漢字で読み方と意味が異なります)。
毎年の細かな日程・お勤めの時間は、檀那寺の意向と家のしきたりに従うのが原則です。
新盆(にいぼん) ― 故人の初めてのお盆
四十九日法要を終えてから初めて迎えるお盆を新盆(にいぼん)あるいは初盆(はつぼん)と呼びます。
富山・石川では、親族・近隣の方を招いてお勤めいただくご家庭が多く、檀那寺の僧侶にお越しいただくのが慣わしです。
新盆の意味合いも宗派によって異なりますので、後述します。
富山型墓石(地上納骨)へのお参りの作法
富山県のお墓は他県と異なり、そのほとんどが地上納骨です。
墓石の下に大きな納骨堂空間があり、そこに骨壺を安置します(全国的には地下納骨が一般的)。
骨壺も大型で、おおよそ32cm × 20cm × 20cmと全国でも大きい部類に入ります。
この「富山型墓石」の構造は、お盆のお墓参りの作法にも関係します。インターネットで紹介される他県のお墓参り作法をそのまま当てはめると、富山のお墓には合わない部分が出てきます。
富山型墓石へのお参りの基本
- 霊園・寺院に到着したら、まず本堂・管理事務所に挨拶(檀家のお宅・寺院墓地の場合)
- 水汲み場で桶に水を汲む
- 墓前で軽く合掌してから清掃にかかる
- 墓石全体に水をかけ、柔らかい布で優しく拭く(凍害爆裂の原因になるため、洗剤の使用は避ける)
- 水鉢・花立を洗い、新しいお花・お水を供える
- 地上の納骨堂の扉前を軽く拭き清め、お供え物を整える(後述)
- お線香・ろうそくを供える
- 家族・親族で順に手を合わせる(真宗門徒はお念仏、他宗派はそれぞれのお勤め)
- 線香・ろうそくの火を完全に消してから帰る
富山の墓石は墓石用変性シリコンの目地(メジ)で防水施工されていることが多いため、強く擦ったり高圧水で洗ったりすると施工を傷めることがあります。お盆前の本格清掃は 専門のお墓クリーニング をご検討ください。
富山特有のお供え物 ― 一般のお供え物と特別なお供え
富山のお墓参りには、地域に根付いた独特のお供え物の文化があります。
一般のお盆のお供え物(平時)
- ロウソク(白)
- 線香
- お花(仏花2束が基本)
- お花の水、ライター(火の取り扱いに注意)
新築・改修・納骨のときの特別なお供え物
お盆そのものとは別の話ですが、新盆で納骨を伴うお盆を迎えるご家庭、あるいはお盆前にお墓を新築・改修されたご家庭では、富山では次のような特別なお供えを整える習わしがあります。
- ロウソク(朱)
- お酒(1升)
- 紅白の1升餅
- 塩
- 海の幸(乾物が一般的):昆布・寒天・スルメ
- 山の幸(畑からとれるもの):大根・ゴボウ・ニンジン
海の幸・山の幸を組み合わせてお供えするのは、富山ならではの感覚です。富山湾の海の恵みと、立山の山々が育てる畑の恵みの両方をご先祖にお供えする ― そんな土地柄が表れたお供え物といえます。
春・秋のお彼岸とも共通する作法ですので、秋彼岸のお墓参り・春彼岸のお墓参りもあわせてご参照ください。
線香・ろうそく・数珠の宗派別の作法
同じお盆のお墓参りでも、線香の上げ方や数珠の使い方は宗派で異なります。富山・石川で特に多い真宗と他宗派の代表的な違いを整理します。
線香の作法
| 宗派 | 線香の上げ方 |
|---|---|
| 真宗(本願寺派・大谷派) | 線香は立てない。香炉の幅に合わせて折り、寝かせて焚く(寝線香) |
| 浄土宗・曹洞宗・臨済宗・日蓮宗 等 | 1本または3本を立てる(本数・並べ方は宗派による) |
| 真言宗・天台宗 | 3本を立てる(立て方は宗派による) |
数珠の作法
| 宗派 | 数珠の扱い |
|---|---|
| 真宗 | 親指と人差し指の間にかける。擦らず、押し頂かない |
| 他宗派 | 両手にかけて擦る、数を取る、押し頂くなど宗派ごとの所作あり |
ろうそく
真宗・他宗派とも、平時の白ろうそくが基本です。新築・改修・納骨など慶事的な節目では、富山では朱ろうそく(朱蝋)を立てる習わしがあります。
お盆の家族の過ごし方 ― 無理のない範囲で
お盆は、ご家族そろってご先祖・故人を偲ぶ大切なご縁の時です。真宗では「聴聞のご縁」、他宗派では「ご先祖をお迎えしお見送りする供養の時」と意味合いは異なりますが、いずれも「相手を思う真心から行う行い」であることに変わりはありません。
真宗のご家庭
- 檀那寺の歓喜会(盂蘭盆会)に参詣し、ご法話を聴聞する
- お内仏(お仏壇)の前で家族そろってお念仏をお称えする
- お墓参りでもお念仏をお称えする
- 僧侶を自宅にお招きしてお盆のお勤めをいただく
他宗派のご家庭
- 13日の迎え火、16日(または15日)の送り火を焚く
- 精霊棚を整え、お盆中はお供えを欠かさない
- 菩提寺の僧侶による棚経(たなぎょう)をいただく
- お墓参りで線香・お花を供え合掌する
共通:お盆前のお墓・お仏壇の手入れ
宗派を問わず、お盆前にお墓とお仏壇を整えておくのが北陸の慣わしです。詳しくは 北陸のお盆前の掃除と準備 をご覧ください。
新盆(初盆)のお勤め ― 真宗と他宗派の違い
故人を亡くされて初めて迎えるお盆は、ご家族にとって特別な意味を持ちます。ただし、その意味合いと作法は宗派で大きく異なります。
真宗の新盆 ― 阿弥陀如来のお慈悲に遇うご縁
真宗では、亡き方は阿弥陀如来の本願によりすでにお浄土に往生し仏となられています。
新盆はその仏縁を改めて確かめ、阿弥陀如来のお慈悲を聴聞させていただく機会として勤められます。
白提灯を飾る、迎え火を焚くといった作法は本来行いません。
檀那寺の僧侶にお越しいただきお内仏の前でお盆のお勤めをいただくのが一般的です。
他宗派の新盆 ― 白提灯を飾り丁寧にお迎えする
浄土宗・曹洞宗・真言宗・日蓮宗などの他宗派では、新盆に白提灯を一基用意し、迎え火・精霊棚を整えて丁寧にお迎えします。親族・近隣にもご案内し、僧侶による棚経をいただくのが一般的です。
新盆を迎えるご家族へ
新盆は、初めてご家族なしのお盆を迎えるという、ご遺族にとって心の負担も大きい節目です。
北陸では、親族・近隣の方が新盆のお宅を訪問し、お線香・果物・お菓子を持参される慣習が今も残っています。
無理に大がかりに営む必要はありません。
檀那寺のご指導と、ご家族の体調・お気持ちを最優先に、できる範囲でお勤めいただければ十分です。
新盆を機に「これからのこと」を急いで決めない:新盆は気持ちが揺れる時期です。「お墓をどうするか」「墓じまいするか」といった大きな判断は、お盆を静かにお勤めしたあと、四十九日・一周忌など節目を経て、ご家族でゆっくり話し合われることをおすすめします。
精霊流しは北陸の風習ではありません
テレビや小説で広く知られる精霊流し(しょうろうながし/しょうりょうながし)は、長崎をはじめとする九州・西日本の風習です。
北陸では一般的な慣習として行われていません。
河川・海に灯籠やお供え物を流す行為は、現代では環境保全の観点からも控えるべきとされ、富山・石川の自治体や寺院でも推奨されていません。
北陸の真宗門徒にとって、お盆は「霊を流して送る」場ではなく、阿弥陀如来のお慈悲を聴聞するご縁の時です。他宗派でも、送り火をもってご先祖をお見送りするのが北陸の一般的な作法であり、精霊流しに該当する慣習はほとんどありません。
富山・石川のお盆でよくあるご質問
Q. 我が家は真宗ですが、近所が迎え火を焚いていて気になります
A. 北陸では宗派の異なるお宅が隣り合っていることはごく普通です。
真宗のご家庭は迎え火・送り火を行わないのが本義ですが、ご近所の作法に合わせる必要はありません。
檀那寺のご指導に従い、ご自身の宗派のお勤めをしていただければ十分です。
Q. 真宗ですが、新盆で白提灯を用意すべきか親戚から言われました
A. 真宗の本義としては白提灯は用いませんが、親族間でお気持ちの行き違いが生じる場合は、檀那寺のご住職にご相談ください。地域・家のしきたりを踏まえて適切にご助言いただけます。
Q. お盆にお墓参りに行けない場合は?
A. お盆当日にこだわらず、前後の日に振り替えても問題ありません。
遠方で帰省が難しい場合は、お墓参り代行 もご利用いただけます。
清掃・お花・お線香のお供えから撮影報告まで承ります。
Q. 雨でお墓参りに行けないときは?
A. 翌日以降に振り替えても差し支えありません。北陸のお盆時期は天候が不安定ですので、無理のない日程でお参りください。
Q. お墓が荒れていてお盆に間に合いそうにない
A. お盆1〜2ヶ月前のご相談がおすすめです。
墓石が傾いている、外柵が崩れている、納骨堂内が湿気でジメジメしている等の状態であれば、お墓のリフォーム・修理で原状回復してからお迎えできます。
富山型墓石ならではの納骨堂内の換気孔の取付け・石貼り整備にも対応します。
お盆・お墓のことでお困りのときは墓まもりへ
お盆前のお墓のお手入れ、お墓のリフォーム・修理、お墓参り代行は、創業1950年の 墓まもり(ヤマイチ株式会社)へご相談ください。
富山県・石川県全域に対応し、現地調査・お見積もりは無料で承ります。
富山型墓石(地上納骨)・大型骨壺・凍害爆裂対策など、北陸ならではのお墓事情を踏まえてご対応いたします。
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お客様の声
富山・石川で墓まもりをご利用いただいたお客様の声です。
「母が亡くなり、遠方に住む私には管理が難しくなっていました。
『墓じまいは罰当たり』という思いもあり悩んでいましたが、スタッフの方が『新しい供養の形への引越しです』と言ってくださり、気持ちが楽になりました。
閉眼供養から更地返還まで、丁寧に対応していただきました。
」
「他社にも見積もりを依頼しましたが、墓まもりさんが一番内訳が明確でした。
『ここはこういう理由でこの費用です』と一つひとつ説明してくれたので、安心してお任せできました。
10年保証があるのも決め手になりました。
」
「長年放置していたお墓の傾きが気になっていました。
見積もりだけのつもりで相談したのですが、『今の状態なら部分修理で十分ですよ』と正直に教えてくれました。
無理な工事を勧めない誠実さに感動しました。
」


