富山・石川のお墓参りは、全国向けの作法ガイドをそのまま当てはめると食い違う点がいくつもあります。
北陸は浄土真宗の門徒が大多数を占める地域で、線香は立てずに寝かせるなど真宗独自の所作があり、さらにお墓そのものが地上納骨の「富山型墓石」という全国でも珍しい構造だからです。
本記事では、真宗門徒と他宗派の違いを併記しながら、富山ならではのお墓参りの手順を一から整理します。
富山のお墓参りは「富山型墓石(地上納骨)」が前提
作法の話に入る前に、まず富山のお墓の構造を押さえておく必要があります。
富山県のお墓は他県と異なり、そのほとんどが地上納骨です。
墓石の下(地上)に大きな納骨堂の空間があり、そこに骨壺を安置します。
全国的には納骨堂が地下にあるのが一般的なので、インターネットで見かける「カロート(地下の納骨室)を開けて…」といった作法は、富山のお墓には当てはまりません。
骨壺も大型で、富山ではおおよそ32cm × 20cm × 20cmと全国でも大きい部類に入ります。
そのため納骨堂の前の所作や、お供えを置く場所の感覚も他県とは少し違います。
呉西(高岡・氷見・射水・砺波・南砺・小矢部)や金沢・能登では細部の慣習が異なる場合もありますので、最終的には菩提寺やご親族の年長の方にご確認いただくのが確実です。
富山型墓石へのお墓参りの基本手順
富山型墓石を前提とした、到着から退去までの一般的な流れです。
難しく考える必要はありませんが、富山ならではのポイントを押さえておくと所作が落ち着きます。
- 霊園・寺院に着いたら、寺院墓地や檀家のお宅の場合はまず本堂・管理事務所にひと声かける
- 水汲み場で桶に水を汲み、墓所へ向かう
- 墓前で軽く合掌してから清掃にかかる
- 墓石全体に水をかけ、柔らかい布で優しく拭く(洗剤やたわしは目地を傷めるため避ける)
- 水鉢・花立を洗い、新しいお花とお水を供える
- 地上の納骨堂の扉前を軽く拭き清め、お供え物を整える
- ろうそく・線香を供える(宗派ごとの作法は後述)
- 家族・親族で順に手を合わせる(真宗門徒はお念仏、他宗派はそれぞれのお勤め)
- 火を完全に消し、お供えの食べ物は持ち帰ってから帰路につく
富山の墓石は墓石用変性シリコンの目地(メジ)で防水施工されていることが多く、これは冬の凍害爆裂(石材に染みた水が凍って膨張し、内部から石を割る現象)を防ぐための大切な施工です。
強くこすったり高圧の水で洗ったりすると、この防水を傷めてしまうことがあります。
本格的な清掃が必要なときは、無理をせず専門のお墓クリーニングをご検討ください。
線香の作法 ― 真宗は寝かせる、他宗は立てる
お墓参りの所作で宗派差がもっともはっきり出るのが線香です。
富山・石川で多い真宗と他宗派の代表的な違いを整理します。
| 宗派 | 線香の上げ方 |
|---|---|
| 真宗(本願寺派・大谷派) | 線香は立てない。香炉の幅に合わせて1本を折り、寝かせて焚く(寝線香) |
| 浄土宗・曹洞宗・臨済宗・日蓮宗 等 | 1本または3本を立てる(本数・並べ方は宗派による) |
| 真言宗・天台宗 | 3本を立てるのが一般的 |
真宗で線香を寝かせるのは、立てて煙を絶やさないことに意味を見るのではなく、香りそのものをお供えするという考え方によります。
屋外のお墓では風で火が消えやすいので、富山では笠式香炉(屋根の付いた風よけ香炉)を備える方も増えています。
ろうそくは真宗・他宗派とも平時は白が基本で、新築・改修・納骨など慶事的な節目には富山では朱ろうそく(朱蝋)を立てる習わしがあります。
数珠の持ち方・合掌・お念仏
数珠(念珠)の扱いや手の合わせ方も、宗派によって作法が異なります。
こちらも真宗と他宗派に分けて押さえておきましょう。
| 宗派 | 数珠の扱い |
|---|---|
| 真宗 | 二輪の念珠を、房を下にして両手に掛け、親指で軽く押さえる。擦り合わせて音を立てたり、押し頂いたりはしない |
| 他宗派 | 両手に掛けて擦る、数を取る、押し頂くなど、宗派ごとの所作がある |
合掌は、両手のひらを胸の前で合わせ、指先を自然にそろえて軽く頭を下げます。
真宗門徒は手を合わせながら「南無阿弥陀仏」とお念仏をお称えします。
富山では方言化した「ナンマンダブ」「ナマンダブ」という称え方が、日々のお墓参り・仏壇参りに今も根付いています。
真宗のお墓参りは「故人と会話する場」というより、阿弥陀さまに手を合わせ、ご先祖の生き様を偲ばせていただく場と受け止められています。
他宗派では、それぞれのご本尊・お題目・ご真言を唱えてお参りされます。
富山のお供え物 ― 平時と特別なお供え
富山のお墓参りには、土地に根付いた独特のお供えの文化があります。
平時と、納骨・新築改修などの節目とで内容が変わります。
平時(ふだんのお墓参り)のお供えは、ロウソク(白)・線香・お花が基本です。
あわせてお花の水とライターを用意しておくと安心です。
納骨やお墓の新築・改修を伴う節目では、富山では次のような特別なお供えを整える習わしがあります。
- ロウソク(朱)、お酒(1升)、紅白の1升餅、塩
- 海の幸(乾物が一般的):昆布・寒天・スルメ
- 山の幸(畑からとれるもの):大根・ゴボウ・ニンジン
富山湾の海の恵みと、立山の山々が育てる畑の恵みの両方をそろえてお供えするのは、富山ならではの感覚といえます。
なお骨壺を納骨堂に納める際は、法名(他宗派では戒名)が書かれた面を正面にして安置するのが富山の慣わしです。
食べ物のお供えはお参りのあと持ち帰り、墓所に放置しないのが、カラスや傷みを防ぐうえでも大切なマナーです。
真宗門徒のお墓参りの心持ちと、覚えておきたい用語
富山では真宗門徒のご家庭が多いため、お墓参りにまつわる言葉づかいにも真宗ならではの作法があります。
地元の年長の方やご住職と話すときに戸惑わないよう、いくつか整理しておきます。
- 故人の戒名にあたるものは、真宗では「法名(ほうみょう)」と呼び、「釋〇〇」の形をとります
- 墓じまいや改葬でお墓のお性根を移す際の法要は、真宗では「遷仏法要(せんぶつほうよう)」「御移徙(おわたまし)」と呼ばれます
- 故人やご先祖への永代の勤めは、真宗では他宗の「永代供養」にあたるものを「永代経(えいたいきょう)」と表します
- 親鸞聖人の御命日を縁に営まれる「報恩講(ほうおんこう)」は、富山の真宗門徒にとって一年で最も大切な法要で、この時季にあわせてお墓・仏壇を整える方も多くいます
真宗門徒のお墓には、家名のほかに「南無阿弥陀仏」(本願寺派)・「南無阿弥陀佛」(大谷派・旧字)の名号が刻まれていることがあります。
こうしたお墓の前では、立派なお勤めをしようと気負うよりも、手を合わせお念仏を称えること自体がそのまま尊いお参りになります。
もちろん、ご家庭の宗派によって作法は異なりますので、迷ったときは菩提寺・ご住職にご確認いただくのが一番確実です。
富山のお墓参りでよくあるご質問
Q. 我が家は真宗ですが、線香を立ててはいけませんか
A. 真宗の本義では線香は折って寝かせます。
ただご近所や他宗派のお墓と並んでいても、ご自身の宗派の作法でお参りいただいて差し支えありません。
厳密な作法が気になる場合は檀那寺にご確認ください。
Q. お墓参りに適さない時期はありますか
A. お参り自体に季節の制限はありません。
ただしお墓の新築・修理を伴う場合、富山では1日の最高気温が5℃以下になりやすい1月〜3月の施工は避けるのが一般的です。
白い汚れ(エフロレッセンス)や接着不良が起きやすいためで、工事を伴うお参りの段取りは早めのご相談がおすすめです。
Q. 納骨堂の中が湿気でジメジメしています
A. 富山型墓石の納骨堂は、構造上どうしても湿気がこもりやすい場所です。
お墓のリフォーム・修理で換気孔の取付けや納骨堂内の石貼り整備を行うと、骨壺の変色や倒れを防げます。
お参りの前に状態が気になる場合はご相談ください。
Q. 遠方でお墓参りに行けないときは
A. お墓参り代行をご利用いただけます。
清掃・お花・お線香のお供えから、写真でのご報告まで承ります。
お墓参りの作法でお困りのときは墓まもりへ
お墓参り前のお手入れ、富山型墓石の納骨堂のリフォーム・修理、お墓参り代行は、創業1950年の墓まもり(ヤマイチ株式会社)へご相談ください。
富山県・石川県全域に対応し、現地調査・お見積もりは無料で承ります。
富山型墓石(地上納骨)・大型骨壺・凍害爆裂対策など、北陸ならではのお墓事情を踏まえて、宗派の作法にも配慮しながらご対応いたします。
関連記事
お客様の声
富山・石川で墓まもりをご利用いただいたお客様の声です。
「母が亡くなり、遠方に住む私には管理が難しくなっていました。
『墓じまいは罰当たり』という思いもあり悩んでいましたが、スタッフの方が『新しい供養の形への引越しです』と言ってくださり、気持ちが楽になりました。
閉眼供養から更地返還まで、丁寧に対応していただきました。
」
「他社にも見積もりを依頼しましたが、墓まもりさんが一番内訳が明確でした。
『ここはこういう理由でこの費用です』と一つひとつ説明してくれたので、安心してお任せできました。
10年保証があるのも決め手になりました。
」
「長年放置していたお墓の傾きが気になっていました。
見積もりだけのつもりで相談したのですが、『今の状態なら部分修理で十分ですよ』と正直に教えてくれました。
無理な工事を勧めない誠実さに感動しました。
」


